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   令和2年 新年の挨拶 理事長 令和2年1月   
 超高齢化社会と今後の日本の医療 (広報いぶすき掲載) 平成26年9月
 看取りのできる在宅医療をめざして 病院長 平成26年5月
※理事長、病院長の表記につきましては、執筆時点での役職を残しております。
 2009年10月から2016年9月まで医療法人浩然会 理事長 、指宿浩然会病院 病院長を大重太真男が兼任。 
 2016年10月から医療法人浩然会 理事長は大重太真男、指宿浩然会病院 病院長に大重和典が就任しました。



  令和2年 新年のごあいさつ 
   理事長 大重太真男
 

 新年明けましておめでとうございます。2020年、令和最初の正月です。今年は東京オリンピックの年であり、鹿児島国体の年です。今年こそは少しでも運動をして、健康に注意しようと改めて思われた方も少なくないと思います。
 日本人の平均寿命はご存じの通り世界でも上位で毎年少しずつ伸びており、平成28年で男性80.98歳 女性87.14歳です。まさに人生100年時代の到来です。ところで平均寿命とは別に健康寿命という指標があります。字のごとく何歳まで健康でいられるかを表した指標です。残念ながら平均寿命と健康寿命には大きな差があります。平成28年の健康寿命は男性72.1歳 女性74.79歳です。(図1)

 
  男性   女性  
調査年  H.22 H.25 H.28 H.22 H.25 H.28
平均寿命(才) 79.55 80.21 80.98 86.30 86.61 87.14
健康寿命(才) 70.42 71.19 72.14 73.62 74.21 74.79
非健康期間(才) 9.13 9.02 8.84 12.68 12.40 12.35
図1 男女別平均寿命と健康寿命

 

 指宿浩然会病院は地域医療を支えて55年になります。地域の皆様や多くの先輩・同僚に支えられて現在に至っています。感謝申し上げます。私自身も勤務を始めて35年たちました。当時50歳で働き盛りだった患者様も85歳になっています。外来受診される患者様の平均年齢も高くなっています。
 このように患者様の高齢化に対し指宿浩然会病院としても様々な対応をしてまいりました。

 健診センターでは、疾病の早期発見(特にメタボ対策)に勤め、外来では内科的疾患全般にわたって医療を提供し、高齢などの理由で外来受診できなくなった患者様に対しては24時間365日対応する訪問診療を行っています。不幸にも病気になられ入院を余儀なくされた患者様に対しては急性期病棟、慢性期病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟とあらゆる病態に対応できるように入院体制を整えています。

 指宿浩然会病院として上記の医療に加え、今年よりさらに健康寿命を少しでも延伸できるようにフレイル外来を立ち上げます。フレイルとは日本語では「虚弱」と言います。健康だった方が高齢にともない徐々に健康が損なわれ、要介護状態になる状態です。原因としては①身体的フレイル ②オーラルフレイル ③精神・心理的フレイル ④社会的フレイルと様々です。(図2

 
身体的フレイル 身体機能低下、体重減少、内臓器疾患(心・肺・糖尿病など)
オーラルフレイル 摂食・嚥下障害、歯科口腔疾患
精神・心理的フレイル 認知症、うつ、不眠など
社会的フレイル 独居、閉じこもり、経済的困窮、老々介護
図2 フレイルの分析
 

 このフレイルの時点で対応することにより要介護状態になることを予防し、健康寿命を延伸させることができます。
国も今年から75歳以上で要介護状態でない方を対象にフレイル健診を開始する予定です。指宿市も「健幸運動教室」や「ころばん体操」などの取り組みを行っています。

 指宿浩然会病院としても地域の皆様が高齢化に伴い徐々に健康を害しフレイルにならないように、少しでも健康でいられるように健康寿命の延伸をお手伝いしたいと思います。そして地域の皆様と共に年を重ね、心あたたまる寄り添う医療を提供していきたいと思っています。
 今までと同様に今年もまたこれからもよろしくお願い申し上げます。

 
 
   


 
 
超高齢化社会と今後の日本の医療
平成26年9月 病院長 大重 太真男 
 日本が世界に誇れる多くのことの一つに世界トップの長寿国であることと、国民皆保険制度を基盤とした医療水準の高さがあると思います。
 しかし、このことが今後大きな問題になろうとしています。日本はこれからますます超高齢化社会に入っていきます。2025年の日本の人口は1億2066万人となり、65歳以上の高齢化率は30.3%になると推定されています。ちなみに2015年には指宿市で35.3%(全国平均は26.8%)になると予想されています。全国平均より8.5%高い値です。その結果、今の医療体制(特に老人医療)は、団塊の世代が75歳の後期高齢者になる11年後に向けて、2025年問題として大きく変わろうとしています。

1.治す医療から支える医療へ
 高齢者特有の慢性疾患(脳卒中、心臓病、呼吸器疾患など)が増加し、その結果、医療や介護を必要とする高齢者が増加します。今後医療が進歩してもこのような介護を必要とする慢性疾患を治すことはできません。治すのではなく、高齢者を社会全体でいかに支えるかを考える医療が求められてきます。

2.人生の最終章をどのように完結させるか
 医療の進歩で人生の寿命(平均寿命)は男性が79.55歳で、女性が86.30歳と世界トップです。しかし、健康で生活できる、いわゆる健康寿命は男性70.42歳、女性73.62歳です(平成22年のデータ)。およそ男性で9年、女性で13年の差があります。これからは平均寿命を延ばすことよりも、健康寿命を延ばすための医療の進歩や医療の提供が大切で必要と考えます。その結果、平均寿命と健康寿命の差がもっと小さくなれば良いと思います。「ピンピンコロリ」です。そのためにも人生の最終章に当たり、自分の人生ドラマをどのように完結させるかを日ごろから考え、家族で話し合うことが大切だと思います。

3.病院から在宅へ
 今でも介護を必要とする高齢者の病院や入所施設は満床の状態です。
 今後、入院を必要とする高齢者が増加したら、病院での入院治療や介護施設への入所がますます難しくなってきます。その結果、在宅での看取りを含めた医療(在宅医療)が必要になってきます。今の在宅医療は家族の身体的・精神的負担が大きく、まだまだ不完全です。前述したように、社会全体で高齢者を支える医療体制の構築が必要となってきます。
 よく人は「家で死にたい」のではなく、「死ぬまで家で生きたい」といいます。日本社会の良さ、日本人の良さ、日本の医療の良さを生かしながら、社会全体で高齢者を支える体制を築き、来るべき超高齢化社会を迎えることが必要だと感じています。


 在宅支援の必要性
  ●高齢化社会と今後の医療の方向性 
   ・急速な高齢化社会   (指宿市の高齢化率35.3% 全国平均26.8%、2015年)
   ・高齢者慢性疾患の増加 (脳卒中、心臓病、呼吸器疾患)
   ・医療・介護の必要な高齢者の増加
   ・病床不足 (入院施設、介護施設の慢性的な不足)
   ・国の方針 (病院から在宅へ)
   
  ●当院の対応・方針
   いろいろな課題が散在する中、病院の基本方針をもとに下記在宅支援の対応を目標に
   検討し充実させていく。
   ・在宅支援部の新設 (在宅医療に特化した専門部署の新設)
   ・24時間、365日対応可能な医療の模索(入院・外来・訪問診療など)
   ・「看取りのできる在宅医療」を新たな目標に掲げる
   ・各職種の連携を充実させる
   ・社会全体で支える(地域社会資源の活用)
   ・など 

 


看取りのできる在宅医療をめざして
平成26年5月 
病院長 大重 太真男
 今後の病院の方向性
 現在の日本は高齢者社会として、経済や年金など多くの問題を抱えています。
それがさらに2025年 今から11年後 には団塊の世代が75歳になり超高齢社会になります。
その結果今まで以上に多くの問題が深刻化してきます。
医療面では、入院を必要とする高齢者が増加し、その結果老人医療費も大幅に増加します。医療資源(病床数など)も限られているため、国はより効率的な医療体系を作ろうとしています。地域ごとの包括ケアシステムの構築と病棟の機能分化です。急性期病院より慢性期病院、さらに慢性期病院より在宅へと川の流れでたとえると上流から中流へ、中流から下流へと患者様のしっかりした流れを作ろうとしています。
 私たちの浩然会病院は今年創立50周年を迎えました。50年前に、自宅で寝たきりにされているお年寄りを哀れに思い、設備の整った病院に入院させたいという思いから始まりました。それから50年が過ぎ浩然会病院は当初の目的は十分に果たしていると思います。しかし前述した様に、国の方針としてこれからの高齢者医療は病院から在宅へと方向性を打ち出しました。今の状況で高齢者を在宅に誘導すれば寝たきりのお年寄りが増えるだけで、50年前に戻ってしまいます。
 そこで今後の浩然会病院の方向性として「看取りのできる在宅医療」を目指したいと考えています。 人は 家で死にたい のではなく 死ぬまで家で生きたい のです。
私たち浩然会病院の仕事は、基本方針にもうたってあるように安心して生活できる医療の提供と、人生の最終章において浩然の精神で医療・看護・介護を提供することです。
具体的には病院内に在宅支援部を立ち上げます。そして在宅療養支援病院として24時間在宅医療を提供します。
「看取りのできる在宅医療」を浩然会病院の今後の50年に向けての再スタートの目標にしたいと思います。前途険しい道かもしれません。多くの困難が待っているかもしれません。しかし「看取りのできる在宅医療」という険しい山に登りたいし、登ることが浩然会病院の使命だと感じています。つらい時も楽しい時も皆さんと掛け声を掛けながら一緒に登っていきましょう。10年後や50年後に登ってきた道を振り返ったらきっと素晴らしい風景が見えると思います。